技術講座 血液
発作性夜間血色素尿症(PNH)の検査
中熊 秀喜
1
1和歌山県立医科大学輸血・血液疾患治療部(血液内科)
pp.513-518
発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102458
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
新しい知見
発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria,PNH)は溶血,血栓症,造血障害を呈する.溶血の分子病態はほぼ全容が解明された.PIGA変異,コードされるグリコシルホスファチジルイノシトール(glycosylphosphatidylinositol,GPI)糖鎖合成酵素の異常,GPI糖脂質の合成不全,GPI結合型補体制御因子の欠損によるPNH赤血球の補体感受性亢進,などである.血栓形成も溶血の影響が大きい.補体第5因子に対する抗体医薬エクリズマブ(eculizumab)の登場により溶血も血栓症も阻止できるようになり予後の改善が期待される.造血障害は再生不良性貧血(aplastic anemia,AA)と似た免疫機序によると考えられ,また発症に必須のPIGA変異クローン拡大は選択的生存と増殖優位で説明されつつある.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.