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今月の特集2 補体をめぐる話題
注目の補体異常症
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria
西村 純一
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学教室
キーワード:
発作性夜間ヘモグロビン尿症
,
PNH
,
補体介在性血管内溶血
,
終末補体阻害薬
,
血管外溶血
,
近位補体阻害薬
Keyword:
発作性夜間ヘモグロビン尿症
,
PNH
,
補体介在性血管内溶血
,
終末補体阻害薬
,
血管外溶血
,
近位補体阻害薬
pp.66-73
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203502
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Point
●終末補体阻害薬(抗C5抗体)は,髄膜炎菌感染症対策が必要であるが,顕著な血管内溶血抑制効果に加え,血栓症発症リスクの軽減,溶血に伴う平滑筋攣縮関連症状の緩和など,さまざまな効果が示され,発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)のQOL,生命予後が劇的に改善した.
●終末補体阻害薬治療により,血管外溶血が顕在化し貧血の回復が十分でない症例が,新たな課題となった.
●近位補体阻害薬(C3阻害薬)により,血管内溶血に加え血管外溶血も抑制され,有意に貧血が回復したものの,一部の症例で大溶血発作のリスクが懸念された.
●近位補体阻害薬(D因子阻害薬)の上のせ(終末補体阻害薬併用)投与は,効果の確実性はあるものの,価格の問題が課題である.
●近位補体阻害薬(B因子阻害薬)の単剤投与は,今のところ良好な成績が得られているが,安定的に血管内溶血を抑制できるのか,感染症リスクの増大はないかという点について,慎重に見極めていく必要がある.
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