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本稿を前回担当しました(2006年9月号)とき,内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目した新健診(2008年度からスタート)の概要を紹介しました.その後,検査項目に変更がありました.確定版案では,健診検査項目は,血液化学検査8項目:TG,HDL-C,LDL-C,GLU(空腹時)またはHbA1c,AST,ALT,γ-GTと血圧,腹囲,尿定性(蛋白,糖)です.これらの項目には,基準値として保健指導判定値と受診勧奨判定値(医療機関への受診を勧める値)がそれぞれ設定されています.生活習慣病の予防のための保健指導が重要で,これには危険度別保健指導が設定されています.その概要は腹囲(男性85cm以上,女性90cm以上)または腹囲は基準値未満であるがBMIが25以上の場合に,(1)血糖(空腹時)100mg/dl以上かHbA1c 5.2%以上,(2)TG 150mg/dl以上かHDL-C 40mg/dl未満,(3)収縮期血圧130mmHg以上か拡張期血圧85mmHg以上.これら(1)~(3)が一つ以上該当する場合のみ喫煙歴は加える.そこでこれらのうち二つ以上該当する場合が積極的支援とし,面接で行動目標を設定し,3か月以上継続的な指導を行い,6か月後の目標達成度を評価します.また,一つ該当の場合は面接で行動目標設定,該当する項目がない場合は情報提供のみとするものです.本新健診の狙いは,①心筋梗塞,脳卒中や人工透析などの患者さんを減らす.②生活習慣病の患者さんと予備軍を2013年度までに25%減らす.③保健者に保健指導を義務付ける.④保健受診率,保健実施率,患者さん減少率の成績の評価を行う.⑤高齢者医療費の分担額を加減するなどです.一大国家プロジェクトとしての成果が期待されるものですが,臨床検査の質が結果にも大きく影響いたしますのでまさしく臨床検査の真価も問われることにもなります.これを臨床検査の追い風としたいものです.
さて本号ですが,臨床検査の最新情報が満載です.“病気のはなし”の「神経芽腫」では,MYCN遺伝子による予後の判定などが可能になっています.「プリオン病」では最新情報が紹介されています.基礎技術としての顕微鏡操作は復習としても重要です.“疾患と検査値の推移”の「多発性骨髄腫」は勉強になります.検査現場での知見として“ワンポイントアドバイス”の「採血管による測定値の影響」,“臨床検査フロンティア”の「医用画像情報管理士」,“Laboratory Practice”の「ウイルス感染症の抗体測定法の使い分け」など参考になります.
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