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前回筆者が担当した編集後記(2007年5月号)に引き続き,特定健康診査について触れてみます.腹囲や判定値の再考などが求められていますが,まずは『標準的な健診・保健指導プログラムの確定版(平成19年4月)』に基づいてスタートすることになります.本誌の増刊号(「メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル」)も参考になるものと思います.この健診ではいくつかの重要なことがあります.それは検査値の信頼性の確保と保健指導プログラムによる指導内容です.前者は検査前手順,検査手順,検査後手順の適正な実施です.健診領域全体では,特に検査のトレーサビリティの確保や,精度管理による質の維持など,今まで以上に検査についての信頼性確保の努力が求められます.後者は保健師などの人的パワーにも限界がありますが,いかに対象者に本気で対応していただけるかです.そのためのモデルがいくつか報告されています.内臓脂肪の減量と体重の減量に効果的と思われますプログラムを紹介してみます.それは90日の減量プログラムです.そのポイントは①減量目標は体重の5%を90日で,そして1日50~100g減,②体重計(100g単位が計れる)で1日2回(朝と晩)のチェック,③これらを記録する,④体重減がないときはその理由をつけてOKとする,⑤頑張らないこと,でも簡単にあきらめないこと.スタディでは30~40代のメタボ診断確定者104名に対して,同意の得られた53名で実施したところ,90日後の成果は,メタボ解除が32名(64%),解除あと一歩が11名(22%),解除失敗が8名(16%)ということでした.少数の担当者で大人数の対応ができるような仕組みが必要になりますし,内臓脂肪の減量をサポートするさまざまな介入方法の開発が今後の大きな課題になるでしょう.
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