増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
21 結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γ測定
原田 登之
1
1財団法人結核予防会結核研究所抗酸筋レファレンスセンター免疫検査科
pp.1308-1310
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101120
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はじめに
結核感染診断法は,従来唯一ツベルクリン反応(ツ反)が使用されていたが,ツ反の診断感度は優れているものの,その特異性の点で重大な欠点を持つ.その理由は,ツ反で用いるPPD(tuberculin purified protein derivative,精製ツベルクリン蛋白質)には数百種類もの異なった結核菌抗原が混在し,そのほとんどのものがBCG(bacillus Calmette-Guérin,カルメット-ゲラン桿菌)や非結核性抗酸菌の抗原と高い類似性を持ち,抗原としての高い交差性を持つためである.したがって,結核未感染のPPD被投与者においても,BCG接種あるいは非結核性抗酸菌感染によってツ反が陽性になる場合がある.このため,BCG接種が広範に行われている日本では,ツ反により正確な結核感染診断を行うことは極めて困難である.しかし,近年結核菌抗原の同定や遺伝子解析が進んだ結果,BCGには存在しない結核菌特異抗原ESAT-6およびCFP-10が発見され,これらは結核菌感染宿主のエフェクターT細胞よりインターフェロン-γ(interferon-γ,IFN-γ)の産生を強く誘導することが報告された.その結果,これらの抗原を用いた高感度・高特異度を持ち合わせた結核感染診断法クオンティフェロン(R)TB-2G(QFT-2G)が開発され,2005年4月に診断試薬として承認された.
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