特集 結核を見逃すな!
ミニレクチャー
③インターフェロンγ測定法
下方 薫
1
1名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科
pp.405
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100101
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結核菌に感染したかどうかの判断はきわめて重要であるが,的確な判定方法は確立されていない.ツベルクリン反応が広く用いられているが,わが国のようにBCG接種が普及している国では,ツベルクリン反応が陽性であってもBCG接種による陽性なのか結核菌に感染して陽性になったのか判定に苦慮することが多い.ヒト型結核菌だけに存在しウシ型結核菌由来のBCGには存在しない抗原を用いれば,結核菌感染を受けた人だけがそれに反応すると考えられる.ツベルクリン反応に代わりうる方法として,試験管内で血液に結核菌に特異的な抗原を作用させ,放出されるサイトカイン(インターフェロンγ)を測定する方法が開発された.
具体的には,ヘパリン添加の採血管に全血を採取し,ヒト型結核菌に特異的な抗原(ESAT-6およびCFP-10)を添加し,37℃で一晩静置培養後,血漿を回収する.HRP標識抗ヒトインターフェロンγを希釈し,血漿検体とともに抗ヒトインターフェロンγ抗体を固相化したマイクロプレートウェルに分注し,室温で60分間反応させる.洗浄後,発色試薬を添加し,室温で30分間反応させ反応停止液を添加後,吸光度を測定しインターフェロンγ濃度を求める.この方法は,①ヒトが有する細胞性免疫をin vitroで測定可能,②ツベルクリン反応と異なりBCG接種の影響がない,③未希釈のヒト全血を用い白血球の精製が不要,④高い再現性と感度,⑤24時間以内に細胞性免疫応答を測定,⑥多数の臨床検査検体を迅速・簡便にスクリーニングできる,といった特徴を有する.
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