増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
総論
6 薬剤応答性遺伝子検査と個別薬物療法
横田 浩充
1
,
矢冨 裕
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1033-1038
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101047
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はじめに
薬物に対する反応性は患者ごとに異なることが知られている.これは,等量のお酒(アルコール)を飲んで,その酔いかたに明らかな個人差があることを連想するとわかりやすい.
薬物反応の個人差は,多くの研究者が研究を進めてきた結果,薬物動態学(pharmacokinetics,PK)および薬力学(pharmacodynamics,PD)の両面からその機序が解明されてきている.すなわち,薬物代謝にかかわるPKや,薬物受容体などの薬物感受性にかかわるPDに関連する遺伝子が個人によって異なるため,結果として薬物反応性が異なるというものである.人の薬物反応性はこのPK要因とPD要因に関係するので,遺伝子多型と薬物反応性の個人差を解明するにはPK・PDの双方を考慮する必要がある.
安全で効果的な薬物治療を行うには,患者個人の代謝能力に合った薬物投与計画が望まれる.いわゆるオーダーメイド医療である.実際,21世紀の医療は個別薬物療法が主流になると予想されており,既に海外においては遺伝子多型判定に基づくオーダーメイド医療が実現している.
本稿では,個別薬物療法における遺伝子検査として,今後の臨床検査に取り込まれるであろう薬剤応答性遺伝子に焦点を絞り概説する.
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