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I.はじめに
重症筋無力症をはじめとして自己免疫疾患の多くは多因性の遺伝素因(ポリジーン系異常)を背景にして発症するものと考えられている。この場合,個別の遺伝子異常を明確にすることは必ずしも容易ではない。遺伝子工学の発展により,これまで表現形質のレベルでしか検討することのできなかった遺伝素因をDNAやRNAのレベルで研究することができるようになってきた。それにもかかわらず,正常と異常の識別はむずかしく,発癌遺伝子の研究にもみられるように点突然変異でごく少数のアミノ酸配列が異なるだけのこともある。構造遣伝子に一次的な異常がみつかる場合はまだしも,多因性の遺伝素因には調節遺伝子に属するものや質的異常でなく量的異常にとどまるものも含まれる可能性がある。
一方,自己免疫応答に関与する免疫担当細胞は複数のsubpopulationあるいはsubsctから成り,それぞれの細胞が産生する免疫関連物質はさらに多数にのぼるわけである。したがって,対応する遺伝子も莫大な数になってしまう。そこで,自己免疫応答の中で何が本質的に重要であるのか選択し,研究の方向性を定める必要性がある。異なった視点から集学的に研究を進める必要性はあるが,いきなり手当り次第にDNAレベルで遺伝素因を検討することは慎重でありたい。
Myasthenia gravis is an autoimmune disorder in which neuromuscular transmission appear to be impaired by antibodies directed against nicotinic acetylcholine receptors. Many evidences have implicated the thymus gland in the pathogenesis of this disease. However, precise triggering mechanisms of autoimmune response and immunogenetic background have not been elucidated.
Both T and B lymphocytes are capable of responding to a diverse spectrum of antigens andof proliferating after the antigen specific clonal activation under a well restricted regulatory systems.
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