オピニオン
遺伝子検査の将来展望
横田 浩充
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.830
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100992
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2001年2月にヒトゲノムの解析が完了した.ポストゲノム時代といわれる現在は,この30億塩基対の解析が行われている.すなわち,ヒトの個体差は遺伝子のSNP(single nucleotide polymorphism,一塩基多型)に基づく発現や違いであり,この解析を基にした遺伝子の機能や蛋白質の各種が研究されている.結果として,遺伝子そう薬,オーダーメイド医療など新しい時代の到来が期待されている.したがって,これに関連したいくつかの遺伝子検査は,将来の臨床検査として実施されるものと考える.本稿では臨床検査の視点から近い将来の遺伝子検査を捉え,以下の4項目について私見を述べたい.
1 . 遺伝子検査項目に対して
現在,実施されている遺伝子検査を大別すると以下の三つになる.(1)細菌・ウィルスなどの病原体を対象とする病原微生物遺伝子検査.(2)造血器・固形腫瘍などの後天的に生じた病変部細胞の遺伝子変異・発現を調べるヒト体細胞遺伝子検査.(3)生涯変化せず次世代に受け継がれる個人の生命情報を解析するヒト遺伝子検査.ヒト遺伝子検査には,①遺伝性疾患の診断,②家族性腫瘍の診断,③生活習慣病に罹患しやすいかの診断,④薬剤応答性や個人の体質診断にかかわる検査などがある.ヒト遺伝子検査は,倫理指針を考慮しながらも将来の遺伝子検査として,最も普及するものと期待される.
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