増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
1. 微生物検査
5)遺伝子検査
(3)同定検査
渡邊 正治
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
pp.1223-1225
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100270
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はじめに
現在,微生物の同定検査で遺伝子検査を用いる方法で市販されているものは,従来法の生化学的方法で同定するには長時間を要する抗酸菌や,菌種を同定するために生化学的性状の特徴が少ないレジオネラ属菌がある.菌が分離されてから使用する場合が多いため一線診療のために使われることは少ない.しかし,迅速に同定することにより治療方針が決定される場合があり有用となることもある.レジオネラ感染症については臨床症状や尿中抗原などによりある程度の治療方針が決定されるため同定検査は疫学的側面が強い.また,結核菌群やMycobacterium avium,M. intracellulareについては,検体からの直接遺伝子増幅法としてPCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いたアンプリコア マイコバクテリウム(ロシュ)やRNA増幅法によるMTD法(富士レビオ)が用いられる.その他の抗酸菌については菌が分離されてから同定が行われ,特にM. abscessusなど迅速発育株では一般細菌検査で分離されることがあり有用な場合がある.ここでは抽出したDNAを種特異的なプローブとハイブリダイゼーションさせて同定する方法〔DDH(DNA-DNA hybridization)法〕のうち抗酸菌とレジオネラ菌について述べる.
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