増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
2. 代謝疾患の検査
1)糖尿病
富永 真琴
1
1山形大学医学部臨床検査医学
pp.1013-1017
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100217
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診断のための検査
1 . 血糖(グルコース)
糖尿病を最も特徴づけるのは「慢性高血糖」であり,血糖検査は糖尿病診断にとって最も大切である.血糖値を測定し糖尿病であるとする判断は表1に示す1999年の日本糖尿病学会(Japan Diabetes Society,JDS)の診断基準1)に従う.
血糖値が空腹時なら126mg/dl以上,随時(食後)なら200mg/dl以上であることが複数回認められれば,糖尿病と診断してよい.なぜ,複数回かと言えば「慢性」の高血糖であることを確認するためである.たとえ無自覚・無症状であっても血糖検査のみで糖尿病と診断しうる.検診などを契機として糖尿病が発見されることも多いが,これは単に糖尿病というレッテルを張る行為ではない.なぜなら,多くの疫学的研究でこれらの血糖値を超えると網膜症や腎症などの有病率が増えることが確認されているからである.「健康日本21」でも,検診の事後指導が強調されているゆえんである.
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