増刊号 一線診療のための臨床検査
第I章 総論―臨床編
1. 感染症の検査
4)不明熱
舟田 久
1
1富山大学医学部感染予防医学講座
pp.1008-1012
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100216
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はじめに
不明熱(fever of unknown origin,FUO)は,1961年にPetersdorfとBeeson1)により,①3週間以上続く,②数回の38.3℃(口腔温)以上,③1週間の入院検査で原因不明,の3項目を満たす発熱と定義された.自然治癒傾向の強い急性ウイルス感染症や微熱の続く本態性高体温はFUOから除かれ,FUOは臨床的意義のある診断困難な疾患群を指すことになった.最近,Durack2)は医療の現況(診断・治療法の進歩,疾病構造の変化,院内感染症の増加)と患者特性〔免疫不全患者の増加,HIV(human immunodeficiency virus,ヒト免疫不全ウイルス)感染症の流行〕とを考慮したFUOの新しい分類と定義を提案した(表1).古典的FUO(38.0℃以上)は従来のFUO(38.3℃以上)に対応し,診断法の進歩・普及を反映して入院での検査期間の設定が1週間から3日間に短縮され,外来の検査では2回と規定された.検査の入院から外来への移行は医療事情の反映と言える.ここでは古典的FUOを中心に,FUOの診断手順と検査法の選択を考える.
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