カラーグラフ 眼と全身病
糖尿病と眼(1)
宇山 昌延
1
1関西医科大学・眼科
pp.2504-2505
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222161
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糖尿病が眼に及ぼす障害には次の3つがある.
1)糖尿病性網膜症,2)糖尿病性白内障,3)眼筋麻痺.
糖尿病性白内障は高血糖により房水の組成が変化し,水晶体の代謝を障害して,本来透明な水晶体に混濁が発生して白内障となるものである(図1).若年の糖尿病者では高血糖が原因となって白内障が発生し,高齢者では高血糖が老人性白内障の進行を促進する.白内障の進行は緩慢なので,視力低下は徐々に進行する.最近は,水晶体に存在するアルドース還元酵素aldose reductaseの活性が高血糖下で増加し,水晶体上皮細胞内にソルビトールが蓄積し,細胞内に浮腫が発生するのが白内障の原因であるという,ポリオール経路説が注目されている.白内障は進行すると手術を行えば治癒する.
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