今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[糖尿病] 糖尿病
杉山 隆
1
1三重大学医学部産科婦人科
pp.505-507
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100252
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1 診療の概要
糖尿病の診断がついている女性が妊娠した場合,糖尿病合併妊娠である.これに対し,妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus : GDM)とは妊娠中に発生したか,または初めて認識された耐糖能低下と定義されている.したがって,この定義によると,従来の概念によるGDM,すなわち妊娠時にのみ出現する耐糖能異常のみならず,妊娠前より糖代謝異常があり妊娠時にはじめて発見された糖尿病,妊娠時に発症した糖尿病も含むことになる.
妊娠糖尿病はその臨床的意義として,周産期合併症の増加と母体の将来の2型糖尿病発症や児の将来の肥満や糖尿病発症の危険性の増加が挙げられる.これら諸合併症の発症を下げる必要条件は母体の厳格な血糖管理である.
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