特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
2 癌遺伝子に関する検査
C.臨床に有用な癌遺伝子 3)ras遺伝子
杉山 武敏
1,2
,
小川 勝彦
1
,
小川 修
3
Taketoshi SUGIYAMA
1,2
,
Katsuhiko OGAWA
1
,
Osamu OGAWA
3
1京都大学医学部病理学教室
2前:神戸大学医学部病理学教室
3京都大学医学部大学院
pp.1313-1317
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917604
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はじめに
ras遺伝子にはHras,Kras,Nrasが知られているが,いずれも細胞増殖と分化に関与するG蛋白系列の遺伝子である.GTPに結合してGDPに変える加水分解機能をもち,細胞膜を通じての信号伝達機構に関与している,ras遺伝子に塩基置換による遺伝子突然変異が加わり活性化する.この遺伝子の突然変異が癌に頻繁にみられるので,癌発生や進展に本遺伝子が頻繁に関与しているとみられている.
以下に,ras遺伝子の概要,遺伝子異常の検出法,癌における意義を総括的に述べたい.
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