見開き講座 分子細胞遺伝学への道しるべ・20
染色体12 隣接遺伝子症候群
田村 高志
1
1杏林大学保健学部臨床遺伝学教室
pp.746-747
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906264
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隣接遺伝子症候群
隣接遺伝子症候群(contiguous gene syndrome)は,染色体の微細な欠失あるいは重複によって隣接して存在する互いに機能的に無関係な複数の遺伝子が同時に障害されて起こる疾患である.これらの疾患は微細欠失・重複症候群とも呼ばれ,1つの遺伝子に変異が起こって発症する単一遺伝子病と染色体異常症との中間的な存在である.また,隣接遺伝子症候群は,異常顔貌,多発奇形,成長障害,精神発達遅滞など多岐にわたる症状がみられるが,欠失した染色体領域の微細な違いから患者間の症状に微妙な差がみられる.
構造異常が微細な欠失あるいは重複のため,従来の染色体解析法では検出が困難であった.しかし,分子生物学的技術でクローニングされた遺伝子をプローブとして用いたFISH解析により染色体の欠失をDNAレベルで検出が可能になった.
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