研究
血清糖タンパク濾紙電気泳動法の改良
佐藤 乙一
1
,
星野 辰雄
2
SATO OTOKAZU
1
,
HOSHINO TATSUO
2
1国立立川病院研究検査科
2国立立川病院生化学
pp.237-241
発行日 1964年3月15日
Published Date 1964/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916744
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I.まえがき
人間の血清中には何種類かの複合タンパク体が存在していることはかなり前から明らかにされていたところであるが,とくに多糖類を含む高分子化合物が存在しているということはすぐる約70年前すでにFreund1)らによってこれが実証されている。
最近わが国ではこの血清中に含有する糖タンパクの量的変化が,各種の組織破壊やdegenerationを伴う疾患の診断,治療,経過推知のうえからとくに重要視されるにいたり,この研究がにわかに進んできた。とくに体液病理の面から血清タンパクの変動を追求するのみではなく,あわせて糖タンパクの状況をもともに知ることはより一層有意義なことであるとされ,この両者をともに分折する傾向が多くなってきつつある。しかし一般的には糖タンパク(glycoprotein)とよばれているこのタンパクと多糖類の複合物についてはまだ統一した名称も決定されていないようであり,いまなお混乱した状態にあるといえるようである。この混乱している原因については前に述べてあるようにそもそもこのものが複合体であるところに起因しているものと思われ,hexosamin,hexose,Sialic acid,Proteinその他からなっており,その結合度によって名称がちがうこと等の隘路があって容易に統一しえない面があるといわれている。そこでここでは便宜上糖タンパクとよぶことにする。
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