研究
濾紙電気泳動技術に関する研究(第1報)
佐藤 乙一
1
1国立立川病院研究検査科
pp.505-511
発行日 1960年8月15日
Published Date 1960/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905736
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I.はしがき
わたくしどもの体が,生命を保持するうえに,きわめて大切な要素のひとつとして,血漿がある。そして,この血漿は,7.5g/dl前後の蛋白質をふくんでおり,毛細血管壁から他の組織液と自由に交流しあつていると言われている。この血漿蛋白は浸透圧の均こうをまもり,γ—globulinを中心に,多少他の分画をふくめて"抗体"を成生し,そして,その力を発揮させ,また,Fibrinogenや,血小板,電解質といつしよになつて,血液の凝固をうながす役目をはなし,さらに流動細胞をうかべて送るということが,血漿のなされる仕事の主なるものであると言われていた。
ところが,血漿蛋白は他にもつと重要な役割をもつているということは,通常,つよくとなえられているところであつて,たとえば,いろいろな疾患や条件によつて,いちじるしい変動をきたすところをみても,容易にうなずかれるのである。いいかえれば,血漿蛋白量が,いろいろな疾患の診断,治療,ひいては予後の判定にいたるまで,かくことのできない重要な位置をしめているということである。そこで,最近は,血漿の総蛋白量を知ると同時に,電場における移動度を利用してAlbumin, Globuminα1,α2,β,φ,γ等の分画にわけ,その分画含有量の結果を臨床面にひろく活用することの必要性が,相当ふえつつあることに注目したい。
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