技術解説
濾紙電気泳動法の実際(その4)—複合蛋白分画法—脂蛋白と糖蛋白
伊藤 斉
1
1慶応大学神経科
pp.357-362
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905841
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1.いとぐち
前号まで3回にわたり阿部正和教授によつて血清蛋白質の分画法を中心として濾紙電気泳動法の実際について詳細な解説がなされたあとに,濾紙電気泳動法による複合蛋白の分画法を中心として執筆するよう依頼されたが私自身,この問題のすべてについて十分な経験を持つているわけでないので,内外文献の内容紹介を兼ねて,なるべく実際的な面より,2回に分けて述べ,更に6回として髄液蛋白の分画法についてふれて見たい。
血液中の脂質や糖質については従来より多くの研究がなされているが,最近に至りこれら物質の大部分は血清蛋白で結合して,脂蛋白(リポ蛋白Lipo-protein),糖蛋白(ムコ蛋白,Glyco-protein,Muco-protein)として存在し,高血圧,動脈硬化症,あるいは熱性疾患,組織の崩壊の盛んな疾患時などに重要な役割を演じていることが分り,臨床生化学的の面から興味が持たれ始めている。
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