病気のはなし
von Willebrand病
長尾 大
1
1神奈川県立こども医療センター小児科
pp.10-15
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202939
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von Willebrand病は,奇妙な病気である.昔から,その病気の概念・病因論などについて非常に議論が多い.しかし一方では,最近の第Ⅷ因子に関する知見の進歩は,主としてvon Willebrand病(以下vWDと略す)について検索を進めた結果である.一昔前までは,血友病Aが凝固第Ⅷ因子分子を先天的に欠き,vWDが第Ⅷ因子の分子異常であると考えられていたが,約10年前からそれが逆になった1).すなわち,vWDが第Ⅷ因子分子の欠如,低下と考えられるようになった.ところが,第Ⅷ因子分子異常によるvWDの亜型がみつかり,数年前に確立したかに見えたvWDの分類が,最近では再度みなおされ,新しい分類が行われている.
このように,学問の進歩とともに,めまぐるしく考え方の変わる病気について解説することは,なかなか難しい.しかし,vWDは先天性出血性素因の中で,血友病Aに次いで頻度が高く,実際臨床上,診断・検査上も重要である.
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