新しい心機能検査法・1【新連載】
右心機能と左心機能
中村 芳郎
1
,
綾 正二郎
1
1慶応義塾大学・内科
pp.63-67
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914241
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心臓の機能は,最終的には身体の各組織に必要な酸素その他の栄養を供給し,代謝物質を運び去るための血液を循環することにある.そのために心臓は種々の形でその動きをコントロールされている.心拍出量を増加するのに心拍数を増加させることは,最も単純に我々に理解できる調節方法である.心拍数を変えることなく,心室の拡張終末期容量を増し,更に収縮末期容量を減少させればやはり心拍出量を増加させられる.ある状態で心拍出量を測定することは,心機能認識の重要な一面である.その心拍出量が身体の各組織にとって十分であることを知り,俗な言い方で表現すれば,心臓がどのくらい努力してこの心拍出量を拍出しているかを知れば,心機能の理解は更に深くなる.更に心臓が"努力"できる範囲を知れば,心機能に関してはほとんど完全な理解ができることになろう.
ところで,心臓の努力の程度を知る方法が極めて複雑である.例えば同じ心拍出量を拍出しているとしても,大動脈の圧が高ければ高いほど心臓は努力させられるに違いない.心拍出量に大動脈圧を乗ずれば左室仕事量となるが,仕事量が同じなら心臓は同じ"努力"をしなければならないかと言うとこれも違う."努力"の表現として心臓の酸素消費量をとると,これは主として発生する圧力とその圧力を発生している時間(Tension-Time Index)に関係することが分かっている.
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