新しい赤血球の検査・1【新連載】
Ferrokinetics
服部 理男
1
1埼玉県立がんセンター臨床検査部
pp.68-74
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914242
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赤血球は骨髄で産生され末梢血に放出された後,約120日の寿命があるが,老化した赤血球から順次脾臓によって抑留(sequester)され,破壊されてゆく.赤血球がこのように生まれ,機能し,次いで役目を終えて死滅し,その構成成分が再利用されてゆく過程は古くから質的に研究されてきていたが,量的に研究されだしたのは比較的最近のことで,アイソトープが医学の各分野で使われるに至ってからのことである.赤血球の前身は骨髄に存在する赤芽球(erythroblast)であるが,このものは血液幹細胞(hemopoietic stem cell)が分裂して生ずる前赤芽球(proerythro-blast)から,正常状態では3回の分裂を繰り返して生ずる正赤芽球(normoblast)までの各段階の赤芽球を全部含んでいる.前赤芽球から正赤芽球に至る過程は約2日間程度の時間を要する.次いで赤芽球は脱核過程を経て,網赤血球となり,やがて通常末梢血にみられる赤血球へと成熟してゆくが,前赤芽球から赤血球が生じるまでの全部の時間は約4〜6日1)を要する.この過程を赤血球産生(red cell production, erythropoiesis)という.赤芽球は発育の早期段階からヘモグロビン合成を開始し,したがってその構成成分である鉄を取り込んでヘモグロビン合成を行う.
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