今月の主題 炎症マーカーとその臨床的意義
巻頭言
炎症マーカー
河合 忠
1
Tadashi KAWAI
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.117
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913568
- 有料閲覧
- 文献概要
炎症は臨床的にもっともしばしば遭遇する病態であり,古くから局所炎症反応の五大徴候が知られているが,病理形態学的にも生化学的にもきわめて複雑な変化を伴う.炎症反応は組織破壊に対する一連の生体防御反応であって,広汎な病巣がある場合にはいろいろな程度に全身反応が表れる.炎症病巣が体表面に限局している場合には肉眼的ならびに理学的所見から,炎症の存在や炎症の広がりをかなり的確に知ることができる.しかし,多くの場合,炎症病巣は肉眼的に観察しえない体内に起こるので,その存在や重症度を的確に把握するための情報が必要である.そのために臨床的に使われるのが炎症マーカーの検査なのである.
炎症マーカーは決して炎症の病因を知るのに役だつものではなく,炎症の有無やその程度を推定するのに役だつもので,病気の経過観察にも不可欠なものである.炎症の病因を知るためには,さらにいろいろな検査が必要である.その意味では,本号でとり上げたいろいろな炎症マーカーは,病名の診断に対しては非特異的検査といってよい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.