研究
Modifying gene yの作用によって発現したと考えられるAm型の一家系について
河瀬 正晴
1
,
原 功
1
,
東郷 久弘
2
,
土肥 勝美
2
,
上月 嘉恭
2
,
亀野 都
2
,
姿 幸子
2
1姫路赤十字血液センター
2高砂市民病院検査科
pp.867-869
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909066
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はじめに
1956年,Wienerら1)は僧帽弁狭窄症と慢性骨髄性白血病の1患者の血液が一見O型のような反応を呈するが,血清中には抗B凝集素が認められず,唾液中にはA型物質が存在する例を発見した.このように,抗原が分泌液中には存在するが,血球上には欠如している例が低級な猿に認められることから,この患者の血液型をMonkeyの"m"をとりAm型と名付けて報告した.
1957年,Weinerら2)は父がB型,母がA1B型で,子供がAmB型である家系を発見した.Weinerらはこの遺伝形式を説明するために,A geneに作用してA抗原の発現をmodifyするrecessive gene yの存在を考え,これがhomozygous state (yy)の時に血球上のA型抗原の発現がmodifyされるが,唾液中のそれはわずかしか影響されず,BやH抗原の発現には全く影響を与えないとし,普通の人のmodifying geneは大抵,YYかYyであるので血球のA抗原には異常がないと説明した.そして,Wienerらが報告した例が,monkeyの血球に似ていることからAm型と命名されているのに対して,Weinerらは,"m"をmodify-ing geneの存在を意味する記号としての"m"のほうが適切であると述べている.
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