研究
臨床化学における真空採血法の評価
辻村 節子
1
,
飯田 初代
1
,
北村 元仕
1
1虎の門病院臨床化学検査部
pp.870-872
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909067
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はじめに
減圧された試験管内に注射針を通して,直接血液を取り込む真空採血システムは,アメリカにおいて約10年前に開発されたが,わが国においても広く普及しつつある.この採血法は従来の注射筒による採血法に比べてワンステップの自動採血で,使用法が簡便迅速で検体の取り違えがないなどの利点があり,また溶血が起こりにくいともいわれる.更に密閉したまま血清分離までもっていけるので外からの汚染がなく,感染の危険も少ない.
しかし,一時的にせよ血液が減圧下にさらされることなどで血球内成分の逸脱による血清化学成分の変動などはないであろうか.真空採血器そのものの汚染については二,三の簡単な報告1,2)があるが,血液成分の修飾については特に文献が見当たらないので,私たちはこの点を検討するために,真空および通常の両採血法を同一人に並行実施し,得られた血清の日常検査項目のデータを比較した.その結果,真空採血法では特に誤差を発生する要因は認められず,むしろ従来の採血法において蒸発,溶血などの問題点が存在することが指摘された.
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