高級技術講義
濾紙電気泳動法(1)—実験装置,実験材料について
小林 茂三郎
1
1東京医科歯科大学生化学教室
pp.75-85
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905435
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
濾紙電気泳動法は簡単な装置で,容易に実験できる上,試料が微量で足りるため広く各方面に応用されているが,実際に行つてみるといろいろの疑問が生ずることが多い。細かい問題は別としても,例えぽ試料はどの位つけるのがよいか,泳動条件(電流,電圧,泳動時間)はどうか,定量法はどの方法がよいかなど,いろいろの問題があり,文献などをしらべてみても研究者によりかなりバラバラの方法で行われているため,どれが最もよい方法か見当もつかないことが屡々ある。
一般にどんな実験法でもそうであるが,簡単な方法いいかえれぽ定性的な実験法ほど一寸した手かげんで成績が著しく相異し,そのために「実験のコツ」というようなものが必要になつて来る。濾紙電気泳動法も全くその通りで,実験上これといつて難しい点は一つもないが,例えば「血清蛋白などを実験してみたが,定量成績の再現性(Reproducibility)が低く,その原因がどこにあるか分らない」という質問を屡々聞いている。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.