特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
15.子宮頸部:腺系異型病変
上坊 敏子
1
,
角田 新平
2
,
蔵本 博行
3
Toshiko JOUBO
1
,
Shinpei TSUNODA
2
,
Hiroyuki KURAMOTO
3
1北里大学医学部産婦人科
2衣笠病院産婦人科
3北里大学大学院医療系研究科臨床細胞
pp.1331-1334
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904569
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はじめに
子宮頸部の腺系の悪性病変は,近年増加傾向にあるが,その組織発生,進展様式などについて不明確な部分が多く,現時点では早期発見に対しての診断上効果的な方法に乏しいと言える.特に初期腺系病変においての,細胞診上の判定基準は確立されておらず,また前癌病変の認識が扁平上皮癌に比し乏しいことから,偽陰性を招きやすいと言える.このことは,子宮頸部の初期腺系病変の細胞診を日常の診療,診断に利用することに際して,スクリーニングの果たす役割が扁平上皮癌のそれと比べるとやや劣っていると言える.
そこで子宮頸部の腺系の病変における細胞診上の特徴を整理し,鑑別のポイントとなる所見をまとめた.まず,現在「子宮頸癌取扱い規約」1)により報告されている腺癌,および関連病変(表1)のうち臨床上遭遇することの多い腺癌および関連病変において現在報告されている細胞診上の特徴をまとめた(表2).
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