今月の主題 制癌剤と臨床検査
検査と疾患その動きと考え方127
子宮癌と腫瘍マーカー
蔵本 博行
1
,
上坊 敏子
1
,
林 玲子
1
,
大河原 聡
1
,
土屋 元一
1
,
秦 宏樹
1
Hiroyuki KURAMOTO
1
,
Toshiko JOBO
1
,
Reiko HAYASHI
1
,
Satoshi OHKAWARA
1
,
Gen-ichi TSUCHIYA
1
,
Hiroki HATA
1
1北里大学医学部産婦人科学教室
pp.1085-1091
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913428
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はじめに
近年,癌診断の手段として各種腫瘍マーカーが注目を浴びている.婦人科領域においては,従来から用いられてきた絨毛性疾患におけるhCG,胎児性癌におけるα—フェトプロテイン,卵巣癌におけるCEAなどに加えて,CA−125を初めとしたモノクローナル抗体が臨床に応用されるようになってきている1).特に,早期発見が困難な卵巣癌では,腫瘍マーカーはきわめて有用であると考えられる.
一方,子宮癌では,細胞診,コルポスコピー,組織診などにより,早期診断することが可能であり,特に子宮頸癌においては,死亡率も著しく低下している.とはいえ,治療後の再発の診断には,現在も不十分な手段しかなく,再発の早期発見法として,腫瘍マーカーに期待されるところは大である.
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