今月の臨床 婦人科腫瘍境界悪性—最近の知見と取り扱いの実際
最近の知見
2.子宮体部境界悪性病変
蔵本 博行
1
,
立岡 和弘
1
,
上坊 敏子
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1002-1006
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902616
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子宮内膜増殖症をWHO分類では良性病変としての①endometrial hyperplasiaと境界病変としての②atypical hyperplasiaに大別しているが,かならずしも明瞭に両者を区別しているわけではなく,むしろこれらは厳格に区別できないことを指摘している1),本邦での増殖症の組織診断基準は「子宮体癌取扱い規約」2)により,①嚢胞性腺増殖症(以下,嚢胞増殖),②腺腫性増殖症(以下,腺増殖),③異型増殖症(以下,異型増殖)と定められているが,それぞれに定義された子宮内膜増殖症の境界腫瘍としての位置づけはいまだ明らかではない.そこでこれらがどの程度子宮体部境界悪性としての性格を有しているのか,つまり癌化の頻度を含めた消長について検討した成績を披露したい.
なお,1996年4月に「子宮体癌取扱い規約」が改訂された3).増殖症は4分類されることになったが,本稿では旧来の分類に則した成績である.
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