一口メモ
明細胞腺癌
山本 雅博
1
1川口市立医療センター臨床検査科
pp.1330
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904568
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明細胞は明るく淡明,あるいは微細顆粒状,泡沫状の広い細胞質を有する細胞を意味し,その印象的な特徴から一般病理学でのパターンを表現する言葉として使用されている.明細胞が出現する腫瘍を表に挙げた(表1).明細胞腫瘍が分類上独立した地位を与えられている例もあるが,特徴的な細胞生物学的態度を発現する例はむしろ少なく,多くは通常型のバリエーションの域を出ない.卵巣,子宮体部,子宮頸部に発生する明細胞癌がいずれもミューラー管由来と考えられて腫瘍型として確立され,そのほか乳腺の富グリコーゲン細胞癌がまれな特殊型として分類されているに過ぎない.また明細胞は上皮性腫瘍に特徴的にみられるのではなく,軟部悪性黒色腫である明細胞腫瘍や脂肪肉腫,軟骨肉腫,平滑筋芽細胞腫など非上皮性腫瘍でも出現する.
明細胞の明るさの本体は細胞質に過剰出現するグリコーゲンである場合が多いが,腫瘍細胞の炭水化物代謝異常が原因とされる1).その他,脂質,粘液のほか,拡張したミトコンドリア,粗面小胞体が関与している.
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