増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
卵巣がんの術後アジュバント―明細胞腺癌/粘液性腺癌
髙取 恵里子
1
,
庄子 忠宏
1
,
杉山 徹
1
1岩手医科大学産婦人科
pp.194-196
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103711
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適応と治療方針
GOG111,OV-10,GOG158,AGOなどの臨床試験により,卵巣がんの術後化学療法はTC療法(パクリタキセル175 mg/m2,カルボプラチンAUC 6)が標準的レジメンとして推奨されている.しかし近年,明細胞腺癌や粘液性腺癌の化学療法低感受性が報告され,組織型別による治療戦略の必要性が提唱されている.Sugiyamaらは,前述の試験に登録された症例の大部分(66~72%)は漿液性腺癌であり,明細胞腺癌および粘液性腺癌はそれぞれ2.1~4.9%,2.4%~4.4%にすぎないと報告した.すなわち,TC療法は未分化がんや類内膜腺癌を含む低分化~高分化型漿液性腺癌に対する標準的治療法ではあるものの,明細胞腺癌や粘液性腺癌に対しても同様の治療をすべきであるという科学的根拠はない.2010年バンクーバーで開催された4th Ovarian Cancer Consensus Conferenceでは,卵巣がんはそれぞれ組織型で異なるgenetic/molecular profileを有することより,明細胞腺癌,粘液性腺癌と漿液性腺癌(low grade)は別個な臨床研究が必要であるという国際コンセンサスが形成された.卵巣がんに対する化学療法は組織型別にレジメンを変えるべき,あるいは変えて臨床試験を進めるべきである.現在のところ卵巣がんに対する化学療法はTC療法が標準治療とされているが,本稿では明細胞腺癌と粘液性腺癌の化学療法について,これまで行われた臨床試験のレジメンについて概説する.
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