特集 細胞診―21世紀への展望
第1章 細胞診―現状の問題点と今後の方向性
4.細胞診自動化と細胞検査士の役割
小林 晏
1
Yasushi KOBAYASHI
1
1大阪厚生年金病院病理科
pp.1177-1182
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904527
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細胞診自動化のあゆみ
細胞診自動化は子宮頸癌早期発見のため集団検診が盛んに行われるに伴い急速に増加する検体に対処するために,検体の大部分を占める陰性例を,精度を維持しながらつまり誤陰性例を発生することなくそして省力化つまりできる限り多くの検体を,自動スクリーニング装置によって除外して置くことを目的としたものである.この研究は主として米国で1960年代初頭から(A) flow cytometryそして(B) image cytometryを用いて開始された.
わが国でも欧米に多少遅れをとったが山村,岸上ら1),田中ら2,3),高橋らによって開発が進められた.米国では自動化の必要度がかなり高く精度管理,特に再スクリーニングには有用であった.1980年代になって,米国では子宮頸癌において,従来の用手法による塗抹パパニコロウ(Pap)標本を細胞検査士がスクリーニングした中に誤陰性例が多数発見され社会的な問題に発達した.このことが子宮頸癌の前癌病変の正確な診断と早期発見をより確実にするために技術的進歩をおおいに促進させ,The ThinPrep Pap Test(TPPT)が1996年に通常のPap塗抹標本に代って導入されるようになった4).
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