豆知識
細胞診の自動化
長浜 万蔵
1
1大阪市大・中検
pp.1391
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908321
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細胞診の自動化の基本点は従来技術者の手で染色標本を作製し,これに目を通して診断するという方法でなく機器によって標本を作製するとともに,悪性腫瘍細胞を自動的に選別し判定まで行なうことであろう.自動判定については研究開発も進んでいるが,現在病理検査室では塗抹標本作製とその染色装置については自動化が行なわれている.
遠心後手動的に沈渣を塗抹した標本では細胞密度の低いものや,細胞分布の不均等な標本が多いが,サクラ・オートスメア(自動細胞収集装置CF 12,図1)は細胞診に供せられる液状検体をスライドグラスの中央部に集中塗抹するので,その収集率はきわめて高く,形態学的にみてもその構造を良く保って塗抹されている.検体を入れるじょうごの先端が方形を呈したものも発売されており,これを用いると検鏡に際しても都合がよい.本器では同時に12枚の塗抹標本作製が可能であるが,予備セルに次回の検体を準備しておくと連続した大量検体の処理も可能である.しかし提出される材料が液状検体ではなく,すでに塗抹固定された検体の場合や,検体処理数が少ない検査室では本器は十分その能力を発揮しえないようである.
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