シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
シトルリン血症
小林 圭子
1
,
佐伯 武賴
1
Keiko KOBAYASHI
1
,
Takeyori SAHEKI
1
1鹿児島大学医学部生化学第一講座
キーワード:
シトルリン血症
,
尿素サイクル
,
アルギニノコハク酸合成酵素
,
homozygosity mapping
Keyword:
シトルリン血症
,
尿素サイクル
,
アルギニノコハク酸合成酵素
,
homozygosity mapping
pp.798-805
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904129
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はじめに
鹿児島大学医学部生化学第一講座では国内外を問わず医療機関からの依頼を受けて,これまでに400症例を超える高アンモニア血症の酵素学的ならびに遺伝学的解析を行い,尿素サイクル酵素異常症を中心にそれに関連した疾患の診断を行ってきた.その中には,カルバミルリン酸合成酵素(CPS)欠損症,オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症,アルギニノコハク酸合成酵素(ASS)欠損症(シトルリン血症),アルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)欠損症,アルギナーゼ(ARG)欠損症,LPI (リジン尿性蛋白不耐症),HHH症候群(オルニチン転送蛋白欠損症)などが含まれる.
特にシトルリン血症を重点的に解析しており,これまでに日本人症例160例および諸外国症例20例の診断を行ってきた.われわれはごく最近,長い間真の原因が不明であった成人発症II型シトルリン血症の責任遺伝子(SLC 25 A 13)の同定に成功した(Kobayashiet al, Nat Genet印刷中).この遺伝子の発見により,シトルリン血症(CTLN)を新生児小児発症の古典型(CTLN 1)と成人発症II型(CTLN 2)にはっきり区別し,定義づけることができた.本稿では,すでに10年ほど前から施行しているCTLN 1の遺伝子診断について,また最近遺伝子診断が可能になったCTLN 2では遺伝子同定を含めて概説する.
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