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シトルリン血症とその遺伝子診断
小林 圭子
1
,
安田 智嗣
1
,
山口 直喜
1
,
佐伯 武頼
1鹿児島大学医学部生化学第1講座
pp.302-304
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905767
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はじめに
尿素サイクルの律速酵素であるアルギニノコハク酸合成酵素(argininosuccinate synthetase;ASS)の異常は,シトルリン血症(citrullinemia)を引き起こす.Kobayashiらが1999年に論文発表した新規遺伝子SLC 25 Al3の発見1)は,筆者らのこれまでの提唱2)「シトルリン血症は異なる病因に基づき2病型に分類される」を確定的なものにした.その結果,シトルリン血症は,①ASS遺伝子自体の異常に起因する古典型シトルリン血症(CTLN1)と,②SLC 25 A13遺伝子の異常に基づき,肝臓特異的にASS蛋白質が低下する成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)とに明確に定義づけられ(表),いずれも遺伝子診断が可能となった.特にSLC 25 A13変異の遺伝子診断は,これまで酵素学的診断しかできなかったCTLN2において飛躍的な進展をもたらしている.
本稿では,2病型のシトルリン血症を区別し,それぞれの遺伝子診断の現状と最近の知見を紹介する.
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