特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅰ.生化学・遺伝子
14.ミトコンドリア脳筋症
後藤 雄一
1
Yuichi GOTO
1
1国立精神・神経センター神経研究所
pp.1293-1296
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903480
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はじめに
ミトコンドリア脳筋症は,細胞のエネルギー産生を担うミトコンドリア機能の障害による中枢神経や骨格筋の症状を主体とする病気の総称である1).ミトコンドリア内には,エネルギー代謝に関する多くの酵素が存在しており,そのそれぞれの酵素異常で,ミトコンドリア機能不全が起こりうると考えられる.その中で,最も頻度が高く,よく研究されている酵素異常は電子伝達系酵素系の異常であり,また,この酵素系は核DNAとミトコンドリアDNAの両者の支配を受けていることから,特異な臨床像や遺伝形式をとることで注目されている.
ここでは,ミトコンドリア脳筋症の臨床症状を述べ,その後に遺伝子検査を中心に主な検査法とその解釈のしかたや注意点を取り上げる.
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