特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
5.神経・筋肉疾患
ミトコンドリア脳筋症
石川 太
1
1弘前大学医学部眼科学教室
pp.90-93
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102002
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はじめに
医学の進歩により病態が解明され,治療法が確立され克服されていく疾患がある一方で,その進歩に伴い新たに疾患概念が確立され医学の歴史に付け加えられていく疾患がある。ミトコンドリア病は臨床報告の蓄積による医学知識の集積,体内における乳酸値の測定やDNA解析技術といった生化学的技術の革新に伴い近年,疾患概念が確立されて診断可能となった疾患であり,その治療法はいまのところなく,難病として知られるようになった。
ミトコンドリア脳筋症の理解にはミトコンドリア病全体の理解が必要であり,ミトコンドリア病を理解するためにはミトコンドリア自体の知識が不可欠である。したがって,本項では最初にミトコンドリアに関する基本的な項目,続いてミトコンドリア病一般に関する項目,最後に眼科に関連深いKearns-Sayre症候群,慢性進行性外眼筋麻痺を含むミトコンドリア脳筋症の臨床所見を述べる。
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