特集 ホルモンと生理活性物質
各論
11.成長因子系
4) FGF
吉田 輝彦
1
Teruhiko YOSHIDA
1
1国立がんセンター研究所がん転移研究室
pp.219-221
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902232
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生合成・分泌・機能
1.生合成
近年,多くの遺伝子がファミリーを形成していることがわかってきたが,FGF (fibroblast growth fac-tor)ファミリーにも少なくとも9つのメンバーが存在することがわかっている(図1,表1).その数は今後さらに増えていく可能性がある.FGFファミリーのプロトタイプは古典的血管新生因子として同定された塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growthfactor; bFGF)と酸性線維芽細胞増殖因子(acidicFGF; aFGF)である.aFGF, bFGF以外は分子生物学的手法を用いて近年クローニングされたものが多く,蛋白質としての生合成・分泌・作用についてはまだ明らかにされていない点が多い.これらの分子の詳細については他の文献に譲る.
aFGFは等電点(pI)4.0~5.0, bFGFはpI9.0である.FolkmanらはFGFを腫瘍が自ら産生する血管新生因子としてTAF (tumor angiogenic factor)と呼んで精製を進めていたが,血管新生部位に肥満細胞の浸潤が顕著であることに気づいた.肥満細胞の分泌する物質の中からヘパリンがTAFの効果を促進し,かつこれに特徴的に結合することを見いだした.
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