特集 ホルモンと生理活性物質
各論
11.成長因子系
5) PDGF
松井 利充
1
Toshimitsu MATSUI
1
1神戸大学医学部第3内科
pp.222-224
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902234
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生合成・分泌・機能
1.生合成
ヒト血小板から精製された血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor; PDGF)はA鎖およびB鎖の2種類のポリペプチドから成る分子量約30Kのヘテロダイマーである.A鎖およびB鎖の遺伝子は,それぞれヒト第7染色体pter→q22および第22染色体長腕に位置し,それぞれ7つのエキソンから成る.B鎖の最小プロモーター領域は,TATAbox上流42bpに存在する.5′および3′端に長い非翻訳部位が存在し,転写調節に関与している.翻訳関始コドン上流140bpには,負の制御領域がみられ,この部分の欠損によりB鎖の細胞形質変換能は亢進する.A鎖のプロモーター領域も最近同定され,1.9kb,2.3kb,2.8kbの3種類の転写産物の転写開始点は同じである.B鎖mRNAは4.2kbの1種類のみが検出される.
A鎖は分子量約16K,B鎖は分子量約14Kのポリペプチドで,AおよびB鎖のアミノ酸配列には約56%の相同性が認められ,A鎖とB鎖の前駆体ペプチドは,等間隔に保存されている8個のシステイン残基によりS-S結合し,前駆体二量体として細胞内で修飾を受け,成熟二量体糖蛋白として分泌される.したがって成熟二量体には,AA, AB, BBの3種類が天然体として存在する.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.