トピックス
アルツハイマー病とFGF—FGF-9の免疫組織化学を中心として
大塚 成人
1
1昭和大学医学部解剖学第2講座
pp.981-984
発行日 1997年10月1日
Published Date 1997/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903258
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はじめに
ヒトの脳の重要な構成細胞である神経細胞は,生涯を通じて,緩やかに生理的減少をしていくが,これによって重篤な脳機能障害を生じることは一般にない.しかし,種々の神経疾患では,特定部位の進行性かつ急速な神経細胞の脱落が生じるために,さまざまな神経症状が出現する.このような神経難病の代表格といえるのが,平均寿命が延びてきた昨今,増加の傾向にあり,社会問題ともなっているアルツハイマー病である.この疾患の主たる病理学的特徴は,神経細胞脱落のみならず,大脳皮質の広範囲に多数のアルツハイマー神経原線維変化と老人斑が出現することである.現在,アルツハイマー病研究としては,神経細胞脱落の直接の原因の探究と並行して,このような異常構造物の解析が重要なアプローチとなっている.そのようななかで,アルツハイマー病脳内における神経栄養因子の動態についての研究も早くからなされてきた.
本稿では,神経栄養因子のうち,線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor;FGF)の非神経疾患脳における局在とアルツハイマー病脳における病態変化について論ずる.
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