特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
3.自己免疫疾患と検査
10)自己免疫性溶血性貧血
野村 武夫
1
Takeo NOMURA
1
1日本医科大学第三内科
pp.290-294
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900884
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はじめに
溶血,つまり赤血球の血管内寿命が短縮したため生じた貧血を総称して溶血性貧血と呼ぶ.これには多数の疾患が含まれ,溶血が赤血球自身の欠陥に基づく内因性溶血性貧血と,環境異常のため赤血球が傷害されて発生する外因性溶血性貧血に大別される.自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia;AIHA)は後者に属する代表的疾患のひとつで,赤血球の崩壊に抗赤血球自己抗体が関与する.
わが国の調査では,AIHAの有病者数は340~1,200名(人口100万対有病率3.1~10.8),年間発症患者数は180~640名(人口100万対年間発症率1.6~5.8)と推測されている.かなり稀な疾患ということになるが,それでもわが国では内因性および外因性の諸病型のうち最も頻度が高く,溶血性貧血患者総数の約25%を占める1).
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