特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
3.自己免疫疾患と検査
11)特発性血小板減少性紫斑病
高蓋 寿朗
1
,
藤村 欣吾
1
,
藏本 淳
1
Toshiroh TAKAFUTA
1
,
Kingo FUJIMURA
1
,
Atsushi KURAMOTO
1
1広島大学原爆放射能医学研究所内科
pp.295-296
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900885
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はじめに
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,現在では自己免疫疾患としてとらえられている.その病態は,血小板自己抗体がFab部分で自己抗原に結合し,これが網内系でマクロファージのFcレセプターを介して,貧食されて血小板減少が起こる.一方,一部のITP症例で免疫複合体の関与が示唆されている.これは,可溶性血小板抗原やウイルスなどの抗原と抗体が結合した免疫複合体が,血小板表面のFcレセプターに結合して血小板を破壊し,血小板減少を惹起するためと思われる.また,抗血小板抗体は巨核球にも結合し,血小板産生に影響を与えていると考えられている.
ITPは特徴的な検査所見に乏しく,診断は,除外診断が重要となる.表76に厚生省特定疾患特発性造血障害調査研究班による,ITPの診断基準(1990年改訂)と鑑別すべき疾患を示した.本稿では主として診断の進めかたについて臨床検査を中心に述べる.
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