増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
1章 腎の病態生理
腎と酸塩基平衡調節
泉 裕一郎
1
,
向山 政志
2
1熊本大学病院地域医療連携ネットワーク実践学寄附講座
2熊本大学大学院生命科学研究部腎臓内科学講座
キーワード:
酸塩基平衡調節
,
代謝性アシドーシス
,
慢性腎臓病
,
CKD
Keyword:
酸塩基平衡調節
,
代謝性アシドーシス
,
慢性腎臓病
,
CKD
pp.350-354
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203562
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酸塩基平衡とは1)
生体が全身の臓器を正常に機能させ,生命活動を営むうえで,体液の恒常性の維持は非常に重要である.体液の恒常性には,体液量や電解質組成,浸透圧などの物理的性状が含まれるが,酸塩基平衡も重要な性状の1つである.
酸とは,水素イオン(H+)を供与するものであり,塩基とは,H+を受け取るものと定義される(Brønsted-Lowryの定義).酸と塩基が体液中に一定のバランスで保たれることを酸塩基平衡といい,その程度はpHで表される.pHはH+濃度の逆数の常用対数である.酸が多く存在しH+が増加するとpHは低下し“酸性”とされ,塩基が多く存在しH+が減少するとpHは上昇し“アルカリ性”と呼ばれる.
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