増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
1章 腎の病態生理
腎線維化のメカニズムとバイオマーカー
森西 卓也
1
,
山本 恵則
1
,
柳田 素子
1,2
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
2京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点[ASHBi]
キーワード:
線維化
,
慢性腎臓病
,
線維芽細胞
,
筋線維芽細胞
,
三次リンパ組織
Keyword:
線維化
,
慢性腎臓病
,
線維芽細胞
,
筋線維芽細胞
,
三次リンパ組織
pp.356-361
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203563
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はじめに
腎機能が低下した患者では,その病因にかかわらず腎間質領域に線維化が認められる.腎線維化は全ての腎臓病におけるfinal common pathwayと考えられ,線維化の程度が腎機能の低下と強く相関するため,線維化の病態解明やその診断・治療は喫緊の課題である.腎線維化は間質領域に存在する筋線維芽細胞が細胞外基質を過剰に分泌することによって惹起されるが,そのメカニズムには不明な点も多かった.近年,遺伝子工学やさまざまな解析技術によって,腎線維化を担う筋線維芽細胞の由来やその制御機構が明らかとなってきた.
腎線維化を定量的に評価できる唯一の方法は腎生検であるが,侵襲性やリスクの観点から安易に行うことはできず,また繰り返し行うことも困難である.腎生検を行わずとも早期に腎線維化を判断することができれば,早期の治療介入・良好な腎予後へとつながる可能性があり,血液や尿から検出できるバイオマーカーを含めた体外診断法の開発が望まれる.
本稿では,近年明らかとなってきた腎線維化の分子メカニズムに加え,その診断方法,特にバイオマーカーについて概説する.
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