今月の主題 酸・塩基平衡異常—その日常臨床とのつながり
病態
身体における酸・塩基平衡の調節
和田 孝雄
1
1慶大・内科
pp.168-169
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205293
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生体の各種緩衝機構
体液の水素イオン濃度をある一定のrangeの中に保っていくことが,生命の維持に亜要な機構であることはいうまでもない.したがって,体液のpHの変動の許容範囲は,7.1〜7.6ぐらいとかなり狭い,しかるに健康人が1〜29/体重1kgの蛋白を含む食餌を摂取すると,40〜60mEqの代謝性の酸が生じる,それは,炭水化物や脂質の不完全燃焼により生ずる乳酸やβオキシ酪酸などの存機酸,Sを含むアミノ酸から生ずる硫酸,Pを含むアミノ酸から生ずる燐酸などである.またこれと並んで,炭水化物や脂質の完全燃焼により生ずるCO2が体液中にとけ込んで,炭酸を生ずる.
生体はこれらの酸に対して,緩衝機構を働かせて,水素イオンを中和させようとする.その中和の仕方としては,図1に見るごとく客種あるが,代謝性の酸と,炭酸に対する場合とで各種の機構の関与の割合が異なっている.
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