増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
1章 腎の病態生理
腎とカルシウム・リン代謝
黒尾 誠
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部
キーワード:
calciprotein particles
,
CPP
,
線維芽細胞増殖因子23
,
FGF23
,
推定原尿中リン濃度
,
ePTFp
,
ネフロン指数
Keyword:
calciprotein particles
,
CPP
,
線維芽細胞増殖因子23
,
FGF23
,
推定原尿中リン濃度
,
ePTFp
,
ネフロン指数
pp.344-349
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203561
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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)とは“腎障害が3カ月以上継続した状態”と定義される.腎障害の原因は問わないが,老化現象の一環として起きるネフロン数の減少(腎老化)を,糖尿病や高血圧などの腎合併症をきたす生活習慣病が加速することで顕在化することが多い.近年,糖尿病や高血圧の治療薬は飛躍的な進歩を遂げているが,それにもかかわらず高齢社会の到来とともにCKD患者は増え続け,わが国では成人8人に1人が患う国民病となった.この事実は,糖尿病や高血圧の治療を徹底するだけでは不十分で,CKDの発症・進行を抑制する普遍的な治療法の開発が急務であることを示している.また,CKDが進行して腎不全に至れば,腎代替療法(透析か腎移植)が必要になる.血液透析患者の年間粗死亡率は約10%1),すなわち5年生存率は約60%で,悪性腫瘍全体の平均とほぼ同じである.生命予後に関しては透析導入は癌宣告に等しく,腎不全の治療法のさらなる改善も急務である.すなわち,CKDにおけるunmet medical needsは,第1にいかにして透析導入を減らすか(腎不全の予防),第2にいかにして腎不全患者の予後を改善するか(腎不全の治療)の2点に集約される.
本稿では,腎不全の予防および治療に有用と考えられる新しい臨床検査法について解説する.
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