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あとがき
山内 一由
pp.1510
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103304
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山中伸弥先生のノーベル医学・生理学賞受賞のニュースが飛び込んできました.ご存知のように日本人としては,利根川進先生以来四半世紀ぶり2人目の快挙です.いったんは書き終えた「あとがき」ですが,世紀のビッグニュースに全く触れずに,2012年の締めくくりとなる本号を終えることはできないと思い,書き改めています.
今回の受賞を伝える報道を通じ,iPS細胞の開発という偉業もさることながら,山中先生の医学研究に対する姿勢に大変感銘を受けました.「まだ一人の患者さんも救ってはいない」,「私たちの一日と患者さんの一日の違いは心している」…….いずれも謙虚ですが,研究者としての目標を明確に指し示し,それを必ず成し遂げようという情熱が表れた力強いコメントです.医療人の端くれでありながら漫然と過ごしてしまいがちな私にとっては,厳しい叱咤の言葉のようにも聞こえ,襟を正さざるを得ない気持ちにさせられました.iPS細胞を用いた新しい医療を実現させ,それを支えていくためには,新しい臨床検査技術の開発が必要となってくることは想像に難くありません.もちろん,既存の臨床検査技術に磨きをかけることも重要です.いずれにしても,山中先生が言われているように,医療人として“患者さんの時間”を心して邁進することが肝要です.
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