今月の主題 子宮頸癌の予防と検査
巻頭言
子宮頸癌の予防と検査をめぐって
坂本 穆彦
1
Atsuhiko SAKAMOTO
1
1大森赤十字病院
pp.1381-1382
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102830
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子宮頸癌およびその前駆病変は,ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus;HPV)により引き起こされることが明かにされている.そのため,ウイルス感染の有無のチェックとワクチン接種が子宮頸癌未然防止の有力な手段であることが,今日では広く認識されるようになった.本企画ではこの“ウイルス感染の有無”チェックに焦点を当て,その現状と課題を浮きぼりにすることを目指している.臨床検査の立場からみると,ウイルス感染状態の適確な判定が問われていることになる.婦人科検診では,コルポスコピー検査(コルポ診),細胞診,組織診が要となる手法として従来より重用されてきた.これに昨今では,HPV・DNA検査が加えられている.このうち,コルポ診は婦人科医の手になる臨床的手技であるので除き,臨床検査の一環である後3者について本企画では取り上げることとした.
ところで,わが国の死因統計によれば,男女とも死因の第1位は悪性新生物,すなわち癌である.癌が死因のトップの座を占めるようになって久しいが,その背景の1つに日本人の平均寿命の延長が挙げられるのが常である.しかしながら,かつては癌よりも上位であった脳卒中や心筋梗塞も,若年者よりも高齢者の頻度が高い疾患である.これらは,その発症や重症化は生活様式への配慮である程度は軽減できるという性質をもつものであり,国民の間で徐々にメタボリック・シンドロームが周知されるようになったことも相俟って,死因に占める割合が減少したものと思われる.
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