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はじめに
わが国ならびに諸外国との癌の診断-治療に関する結果の比較検討を行い,診療の質の向上を目指すためには各診療施設における癌の病理診断,進行期分類などが一定の基準に基づいて取り扱われる必要がある.これは子宮頸癌のみならず,全身諸臓器の疾患に共通する思いである.
日本産科婦人科学会は日本病理学会,日本医学放射線学会に「子宮頸癌取扱い規約」(以下「規約」)の作成を提起し,1987年に初版が刊行された.それ以来,わが国では標準化された用語と定義のもとで,子宮頸癌の診療が行われ,治療成績の全国レベルでの症例登録と結果の蓄積もなされてきた.
臨床進行期に関しては国際対癌連合(Union Internationale Contre le Cancer,UICC),国際産科婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics,FIGO)が,また,病理組織分類に関してはWHO(World Health Organization,世界保健機構)が国際的な見地からまとめたものを随時発表している.「規約」はこれらとの互換性を保ちつつ,わが国の診療現場の要請にも即応できるような項目の規定も盛り込まれている.例えば微小浸潤扁平上皮癌の計測法はわが国の「規約」には具体的な方法が詳述されているが,UICC,FIGO,WHOのいずれのフォーマットにおいてもかなり漠然とした内容しか記述されていない.
世界の流れとの関係で「規約」は1997年に改訂第2版が出版され,現在はそれが用いられている1).筆者は初版では作成委員として,また,第2版では病理系委員のまとめ役として「規約」作成作業にかかわった.これらの経験を踏まえて,本「規約」の特徴を述べてみたい.
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