Japanese
English
今月の主題 ファーマコゲノミクス
話題
ワルファリンのファーマコゲノミクス
Pharmacogenomics of warfarin
越前 宏俊
1
Hirotoshi ECHIZEN
1
1明治薬科大学薬物治療学
キーワード:
ワルファリン
,
ファーマコゲノミクス
,
抗凝固薬
,
血栓症
Keyword:
ワルファリン
,
ファーマコゲノミクス
,
抗凝固薬
,
血栓症
pp.1188-1192
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102418
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1.はじめに
ワルファリンは一部のヨーロッパ(ドイツなど)を除いて本邦や米国では長期経口投与可能な唯一の抗凝固薬として50年以上静脈血栓症と心房細動に伴う血栓塞栓症の治療と予防などに使用されてきた.米国では,ルーズベルト大統領の心筋梗塞治療に使用されたことを契機として広く患者にも認知度が高まったが,本邦では数年前に元巨人軍の長嶋監督が心房細動に合併した心原性脳血栓塞栓症の2次予防に使用したことをきっかけとして,心房細動患者に対する使用が増加したと言われている.
この薬物は本邦において50年以上使用された結果,薬価は1錠9.7円と事実上の底値でありながら,年間70億円程度の売り上げがあるという特異な薬物である.抗凝固薬としてのワルファリンの効果は多数のエビデンスにより確立しているが,同時に副作用も多いことでも有名で副作用調査研究では常にインスリンと並んで薬物副作用の原因薬として首位を争っており,用量設定が難しい薬物である.このような臨床事情を背景にして,近年ワルファリンの応答性の個人差をゲノム薬理学(ファーマコゲノミクス:PGx)の手法により解明し,臨床応用を試みる研究が多数行われている.
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